「マウスを用いたステップパターン学習課題:走行するマウスの神経活動の解析」

木津川尚史  大阪大学 大学院生命機能研究科


 楽器の演奏や発話、歩行など、複数の動作が連続してリズミカルに行われることによってはじめて意味をなす行動があります。そのような運動の遂行には、要素となる一つ一つの動作が正確に行われることはもちろん、それらの動作が順序よく正確なタイミングで行われることが要求されます。

 私たちは、そのような運動やその学習の神経機構を解明することを目的として、マウスのステップパターンを制御するホイール走行装置を作製しました。この装置では、一定のスピードで回転するホイール中を、特定のステップパターンで走るようにマウスは訓練されます。マウスのステップ一歩一歩は単純な運動ですが、複雑に組み合わされた一連のステップを効率よく走り続けないと、報酬である水を飲み続けることができません。未経験のパターンに遭遇した時にはマウスは最初はうまく走れませんが、しばらくするとかなり複雑なパターンでもステップを空間的・時間的に調節して走れるようになることがわかってきています。

また、大脳皮質運動野と線条体がこのステップ走行学習に関与している可能性が高いことを組織化学的手法により見出しています。現在、走行するマウスの脳のこれらの部位から神経活動の記録を行っており、この結果についても紹介したいと思います。