内因性カンナビノイドによる線条体シナプス伝達の修飾

大阪大学大学院・医学系研究科・細胞神経科学

狩野方伸

 

内因性カンナビノイドは脳の様々な部位で逆行性の抑制性シグナル伝達物質として働いている。内因性カンナビノイドはシナプス後細胞の脱分極に伴うCa2+流入およびGq/11タンパク共役型代謝型受容体の活性化により合成・放出され、逆行性にシナプス前終末のCB1カンナビノイド受容体に作用して、伝達物質放出を減弱させることが知られている。今回私たちは、生後15?21日齢のマウス線条体の中型有棘ニューロン(MSニューロン)から抑制性シナプス後電流(IPSC)を記録し、内因性カンナビノイドによる逆行性伝達の機構を調べた。その結果、線条体において内因性カンナビノイドが@MSニューロンの強い脱分極、AMSニューロン上のM1ムスカリン受容体の活性化、およびB弱い脱分極と弱いM1ムスカリン受容体活性化の組み合わせにより合成・放出されることを明らかにした。さらに、コリン作動性介在ニューロンの活動の増減や、細胞外ACh濃度の変動によって、脱分極による内因性カンナビノイド放出の強度が変動した。この結果は、内因性カンナビノイド系はコリン作動性介在ニューロンの活動により細胞外ACh濃度依存的に制御されており、コリナージック系は内因性カンナビノイド系を介して、線条体からの出力調節に関わっていることを示唆している。