「大脳皮質発達過程におけるGABA応答性の変化と制御機構」

山田順子

静岡大学大学院・電子科学研究科・生体情報処理講座 

 

 抑制性伝達物質として知られるGABAは、脳の発達初期ではむしろ興奮性に働く。この原因として、逆方向に働くCl-輸送体 NKCC1とKCC2のバランスが発達に伴い変わり、[Cl-]iが変化する為ではないかと考えた。これら輸送体の発達に伴う発現変化とGABA応答性を調べる為、ラット脳スライス標本を用いて、グラミシジン穿孔パッチクランプ法により[Cl-]iを計測し、記録細胞の各輸送体mRNAの発現の差をsingle-cell multiplex RT-PCR法により解析した。その結果、幼若細胞では[Cl-]iは成熟細胞に比べ有意に高く、GABAによる脱分極と[Ca2+]i上昇がみられた。また、[Cl-]iに対してNKCC1は正の、KCC2には負の相関が見られた。以上の結果より、幼若期のニューロンではNKCC1が[Cl-]iを維持し、発達に伴いKCC2が主に働くようになるため、GABAの応答性が変化するという可能性が示唆された。