「大脳皮質の線維連絡と抑制性神経細胞」

 

  山下晶子 先生  日本大学・医学部・先端医学講座・応用システム神経科学部門

 

 バイオサイチンを使いサル運動皮質の局所回路を形成する個々の神経線維を詳細に追跡した。カラムサイズに限局した広がりを持つ軸索や特定の層にのみ終末を持つ錐体細胞があり、終末分布が限定される特別な作用を持つ錐体細胞があると予想される。

 げっ歯類大脳皮質では抑制性GABA神経細胞のマーカーであるカルビンジン(CD)、カルレチニン(CR)、パルブアルブミン(PV)は異なったタイプの細胞に存在する。サル大脳皮質でも3種とも細胞体ではGABAと共存する。CD細胞軸索は陰性樹状突起の線維束に近接し終末を形成し、CR細胞は陰性樹状突起遠位部に終末を持つ他、CR陽性樹状突起にも終末を持つ。PV陽性細胞は陰性樹状突起や陰性軸索、錐体細胞の細胞体に終末を持つ。サル大脳皮質でも3者は異なったタイプの抑制細胞に含まれ、皮質回路網でも異なった役割を担うものと考えられる。

 マウス視覚野で領野間結合であるfeedback(FB)およびforward(FW)結合とGABA抑制細胞の関係とその発達を調べると、生後15日では両投射経路に差は見られないが、成熟期ではFWはGABA-PV細胞の細胞体や樹状突起近位にミトコンドリアを多く含む終末を持つのに対して、FBは樹状突起遠位部にミトコンドリアのほとんど含まない終末を持つ。この解剖学的な差がFWとFBの生理学的な差とも関係していると考えられる。


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