小島久幸先生

理化学研究所脳科学研究所上級研究員


演題: 

大脳皮質は聞く耳をもつか?


要旨:

 種特異的音や言葉を使うということは物理的音波の解析、その意味合いの把握、そして断片化した音を経時的に組み合わせて構音することからなる。

 動物の聴覚大脳皮質の役割は視覚と比べてよくわかっていない。しかし、最近、視覚でのdorsal and ventral pathwaysに相当する領域の階層化、what pathwayとwhere pathwayがあるという考え方が提出されてきた。what pathwayでは種間コミュニケーションでの声の質を区別し、where pathwayでは音源の同定の情報処理をすると考えられている。whatとwhere pathwaysは聴覚連合野の異なる階層で別々の部位を占め、並列分配処理が行われている可能性が示唆される。しかし、並列処理といっても単にpoint-to-pointな結合が並列化するだけでは複雑な情報の統合は起こりえないと思われる。

 演者らはこれら並列聴覚経路間の相互関係、また、同一並列聴覚経路内での異なる情報処理部位(異なる周波数チャンネル)間での相互関係、さらには異なる階層レベルに

ある異なる部位に由来する局所投射、前頭前野への投射を二重の順行性トレーサーを用いて調べつつある。

 一部実験データを提示し、異なる聴覚皮質小領域に由来する投射の分散性と収斂性から、より高次領野での情報の統合について検討したい。

 
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