Juxtacellular recordingによるsingle cell levelの解析の実際

Practical application of juxtacellular recording to single cell analysis

 

神野尚三

 

九州大学 大学院医学研究院 基礎医学部門 神経形態学分野

 

1996年にDidier Pinaultが新たな細胞外記録法として発表したjuxtacellular recording法は、標的細胞に直接的な傷害を与えることなく、電気生理学的活動性を記録し、ゴルジ染色法に匹敵する明瞭な標識を得ることを可能にする画期的な手法である。技術的には細胞内記録法に比べて容易とされ、形態学的解析との親和性も高いことから、解剖学研究者の同手法への関心は高い。演者は海馬のGABA作動性ニューロンの形態学的、電気生理学的解析を目指し、1998年からjuxtacellular labeling法に取り組んだが、手技的な確立に留まり、意図する結果を得ることができなかった。このため、juxtacellular recording法による優れた論文を発表していたオックスフォード大学 Peter Somogyi教授の研究室に2004年から博士研究員として留学し、解剖学的手法と電気生理学的手法を組み合わせて、多角的に進める研究手法を学んだ。本シンポジウムでは、演者が同研究室で行った海馬の新たな投射型GABA作動性ニューロンの検索と同定についての研究を紹介し、juxtacellular recordingによるsingle cell levelの解析の実際と運用面の課題について、解説と考察を行う。